花月草子

清涼山の御亭

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真名本 曾我物語

購入してから、しばらく積んであった状態だったものにようやく手をつけました。
「真名本」は数ある曾我物語諸本の中でも、もっとも古態をなす書として
取り上げられる事の多い書です。

真名本 曾我物語 『真名本 曾我物語 1・2』 
 平凡社 東洋文庫
 1(1987年初版):青木晃、池田敬子、北川忠彦、編 
 2(1988年初版):笹川祥生、信田周、高橋喜一、福田晃 編

仏教説話が多用されてやや冗長。あまりにくどい美文修辞はナナメ読みするとして
とにもかくにもこの騒動の一連の発端は下の大まかな系図にしめした様に、助隆入道
が後添いの継娘に手を出したのが全ての因縁のはじまり。
註:名称表記は本の表記に従いました
助親は嫡流男子の孫であるにもかかわらず次男扱いされて、助継が嫡男扱い。
それでは領地分配でモメてもいたしかたなし。といった所。

曾我物語系図 で、色々と双方の思惑が絡み合った所で
 助経、助通の代になって助経の示唆による助通の
 暗殺という決定打ともいえる事件がおこるわけですが…
 この時、一万は五歳、筥王は三歳。
 この歳からずーっと母親の仇討ち願望を子守唄の
 ように聞かされ続けて育つわけよ…
 後になってから母親が「仇討ちなどとは考えるな」
 などと言ってみた所で、そりゃあ無理というもので。

 しかし、お能はストレートに題材を拾っているにも
 かかわらず
 (小袖曾我、禅師曾我、調伏曾我、夜討曾我)
 芝居の世界では最早原型をとどめていないぞ。
 娯楽エンタテイメントに「兄弟」の名前が入って
 いればいいのか?
 というくらいです。話の面影まるでなし。<笑
 だって「万劫御前=満江さん」は助経の嫁だし

 個人的には兄弟が助経を討ち取った後の虎御前の
 行動の方が涙をさそう。(巻ノ十)
 ちなみに「化粧坂少将」など名前すらなし。

各巻ごとの注釈はさすがは東洋文庫。充実しています。
巻狩りの際の頼朝宿所を中心とした各御家人の仮館配置がよく判る。
また巻狩り参加の御家人一党の当日の装束なども一覧表になっているし、
保元・平治物語との対照や尊卑分脈など比較文献も多数表記。
もちろん、長々と引用されている仏教説話の解説も事こまか。

根気のある方は御一読なさる事をおすすめ。
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| 書籍 | 20:22 | comments:2 | trackbacks(-) | TOP↑

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『戀重荷』と『綾鼓』

能作書 『能作書・覚習条条・至花道書』 
 岩波文庫 青
 世阿弥著 野上豊一郎校訂

世阿弥の物する「能作書」では、
「一、大よそ三體の能、近来、おしいだして見えつる、世上の風體の數數」
として、現在は廃曲になったもの、或いは曲名の変ったものも含めいくつか
大体のジャンル毎に別けて曲がならべてありますが
「如此碎動風。」
として
・戀のおもに(戀重荷)
が挙げてあります。

この後、文の続くことには、
 此能共をもて、新作の本體とすべし。凡、近代作書する所の數數も、古風體を
 少しうつしとりたる新風也。昔の「さがものぐるひ(嵯峨物狂)」の狂女、今の
 「ひやくまん(百萬)」是也。 ~中略~ 「戀のおもに」、昔「あやの大こ(綾太鼓)」也。
 ~中略~ いづれもいづれも、本風をもて、再反の作風也。其當世當世によりて、
 少少こと葉をかへ、曲をあらためて年年去來の花種をなせり 云々」

ああ、するとやはり、女御に恋した『綾鼓』の老人のやるせなさと怒りとが
織り成す救いの無さは『戀重荷』に書き改められた事により、最後に女御の
守り神となる事で昇華するように世阿弥の時代に作られたのだという事で。

山風吹き乱れ 恋路の闇に迷ふとも 跡弔はゞその怨は 霜か雪か霰か
終には跡も消えぬべしや これまでぞ姫小松の 葉守の神となりて
千代の影を守らんや 千代の影を守らん (戀重荷)


『綾鼓』の老人への手向けとも言えるような『戀重荷』。
これからはまた彼を見る目が違って来るかもしれません。

典籍をあたるとこんな世界も色が変って見えてくる。 

| 書籍 | 14:55 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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子寶三番叟

さて、でてきた譜本の中で、「子寶三番叟(旧称:子寶三番三)」は新版…
といっても昭和四十四年版ですが…と旧版のものが両方揃っていました。
(旧版も具体的にいつのものかは、ただ版元坂川平四郎の住所表記が
「下谷区谷中清水町壱番地※」とされているので、六代目か七代目の文字太夫の頃
のものだろう。というのは判りますが)

※下谷区谷中清水町壱番地…今の上野の池之端四丁目あたり

新版中表紙の見返しには

「能楽より採つた「式三番叟」を、更に和らげ、間狂言仕立にした祝儀曲で、
主題には子福者、即ち子寶である。八幡大尽といふ子澤山の長者が、太郎冠者
の勧により、おのれの子福者を物語り、男女合はせて十二人の児ども等が、
戯れる四季の遊び事を真似て、さも楽しげに唱い舞ふ曲。題名は元「子寶三番三」
であつた。…(後略)」

との一文。元が「三番三」というからにはやはり元々、少なくとも曲の成立した
天明年間には大蔵流の狂言が江戸ではスタンダードであったということでしょう。
今、芝居の松羽目ものでも大体演出は大蔵系統のものが多いですしね。
じゃ、いつ「三番三」が和泉流表記の「三番叟」になってしまったのかなぁ。
「寿式三番」をはじめとする芝居系のものは派生狂言を含めて皆「三番叟」表記
ですし。謎です。
ちなみに旧版の表記は「三番三」なので、少なくとも明治期までは大蔵流表記も
使われていたということですね。

さらに、新版の方は揉~大名、太郎の台詞~謡部分しか書かれていないのですが、
旧版の方ですと箇所箇所に「ハル」「含」「二上リ」「ユリ」などと書かれている
ので昔のものの方が親切。
冒頭の「置鼓」も表記は旧版のみですが、コレがつくという事は、頭に鼓と笛の音取
が入るということで、文字通り「重い」扱いを受けているのがわかります。

で、短い曲なのでテキスト化してみました。おひまな方は「続きを読む」からどうぞ。

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| 書籍 | 18:12 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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古本格闘

故・祖母の地袋戸棚から常磐津の浄瑠璃譜本などがどっさり出てきました。
誰も手をつけたがらないから私一人で整理しましたよ。
(ある意味ボロい「古紙の山」だからなぁ・・・触りたくない気持ちは判りますが)

明治20年新富座初演の「新曲(!) 紅葉狩」とか同23年「戻橋」歌舞伎座初演
とか同24年「増補女鳴神」歌舞伎座初演などの当時の所謂「番付」が発掘され
てしまって、もうどうしたらいいやら。
物持ちいいなぁ祖母ちゃん…と思ったけど、世代で言ったら曾祖母かも
これはうちなんかに置いておいていいもんだろうかと。
えぇーと、明治24年の鳴神尼が福助すよ福助。後の五代目成駒屋だ。
絶間之助が二代目坂東家橘。どんだけwww

発掘された浄瑠璃本は新版、旧版などカブリもありますが、
のべ曲目でこれだけ(下記一覧)。
常磐津協会webの曲目欄にも載っていないのが多かったです orz
奥付名義が豊後大掾のもあるしなぁ。うへー
一冊、外題が欠けて不明な本があるんですが、奥付に文久二年守田座と
記してあったので、多分「恨葛露濡衣(小夜衣)」の下巻なのではと推測。

「女鳴神」「紅葉狩」 ・朝顔日記 宿屋の段
 ・今様夜討曽我
 ・歌徳恵山吹
 ・恨葛露濡衣
 ・大森彦七
 ・恩愛瞶関守
 ・神楽諷雲井曲毬
 ・神路山色捧
「紅葉狩」表紙. ・勢獅子劇場花篭
 ・岸漣常磐松島
 ・内裡模様源氏紫
 ・子寶三番三 表記ママ
 ・三世相錦繍文章
  三社祭礼の段/福島屋の段/道行蝶吹雪 
 ・三幅対和歌姿画
 ・忍夜戀曲者
朝顔日記 五行本 ・忍夜孝事寄
 ・雙六盤露の玉藻
 ・関取千両幟 喧嘩の段/角力の段
 ・薪荷雪間市川
 ・壇浦兜軍記 琴責の段 
 ・積戀雪関扉
 ・主誰糸春雨
 ・后の月酒宴島薹
「関扉」「琴責」 ・乗合船恵方萬歳
 ・初戀千種濡事
 ・花舞薹霞の猿曳
 ・本朝廿四孝 四段目
 ・道行戀三度笠
 ・三保松冨士晨朝
 ・戻橋
 ・奥州安達原 雪降の段

文字初さん、阿古屋までやってたのか…

| 書籍 | 16:30 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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屋代本 剣巻

平家物語屋代本、というのは単体で今普通に流通しておりませんので、
(昔扱っていた出版社でも絶版になっていますし。高野本との対照本は入手
できますが、本日の目当てはそういう事ではないのでして…)
書店で目にすることはできませんが、今は良い時代になったもので、
WEB上で「剣巻」と探して、テキストを見つけ出す事に成功。

感想…この巻だけでいったい能、浄瑠璃が何曲出来てるんだろう?

能-鐵輪(橋姫含む)、土蜘蛛、大蛇、正尊、草薙、曾我モノ
浄瑠璃-戻橋、奥州安達原、曾我モノ

きりなし<苦笑

ほか、二振りで一具をなす太刀、「鬚切」と「膝丸」の流転の物語でもあります。
多田満仲が拵えた太刀はその子頼光に伝わり、後に有為転変を経て
名前がコロコロ変わるので、ついて行くのが大変。

「鬚切」→「鬼丸」→「獅子の子」→「友切」→「鬚切」
「膝丸」→「蜘蛛切」→「吼丸」→「薄緑」

そーか、友切はこういう登場の仕方をするのか。
箱根別当から渡されて曾我兄弟が仇討ちにつかったというのは薄緑。

テキストを読みながら整形しなおしていたら半日費やしてしまいました。

| 書籍 | 16:09 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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